無料の入口で、先に価値を渡す
よくある型:無料の説明会(2時間前後)。進行は「体験セッション → 既存顧客による活用法の紹介 → 主催者による説明と個別相談」。ほかに無料動画のLP、YouTube、書籍。
重要なのは順番。説明より先に体験を置き、次に第三者(既存顧客)に語らせ、最後に自社が説明する。 自社が最初に説明すると売り込みになるが、体験と第三者の証言が先にあると、説明が確認作業に変わる。
移植:無料の入口に「自社が話す時間」を最小にする。代わりに、既存顧客が語る枠を必ず1つ入れる。
本命は1本だけ。そこで儲けない
よくある型:3日間の集中プログラムを1本だけ、十数万円で置く。この入口商品の売上が全体に占める比率は1割前後にとどまることが多い。
入口商品を1本に絞ると、迷いが消えて意思決定が速くなる。そしてその1本は利益の柱ではなく、9割側へ人を通すための関門として設計されている。 入口を安くしすぎると軽く見られ、高くしすぎると通らない。「痛いが出せる」の水準に置くのが要点。
移植:入口商品を複数持たない。価格は「痛いが出せる」に置く。ここのROIを単体で見ない。
会員費を安くして、「戻ってこられる権利」を売る
よくある型:年会費が数千円と極端に安い会員制度。特典の中心は「再受講が半額」。非会員の再受講価格は、会員価格のちょうど2倍に置かれる。
年に数千円は収益として意味がない。これはロックイン装置である。 会員をやめた瞬間に再受講が倍になるので、やめる理由がなくなる。 月額を高くして直接稼ぐより、安い会費で「割引される権利」を持たせるほうが、離脱率が下がる。
移植:会費で稼がない。会費は「割引される権利」の維持費として設計し、非会員価格を会員価格のちょうど2倍に置く。
忘れる前に呼び戻すリズムを、商品仕様として書く
よくある型:3年で6回の再受講。3ヶ月後・6ヶ月後・9ヶ月後・12ヶ月後・2年後・3年後、と間隔が広がっていく。完走者には称号が与えられる。
再購入は獲得コストがゼロで、会場と講師は新規と共用なので限界費用もほぼゼロ。 しかも間隔が忘却曲線に沿っている(最初は詰めて、あとは開く)。 顧客が「また来ていい」ではなく「来ることになっている」状態にするのが肝で、そのためにリズムを商品説明の中に書き込んでいる。
移植:再購入を「機会」ではなく「工程」として最初から商品説明に入れる。完走に名前を付ける。
紹介を施策ではなく、カリキュラムに内蔵する
よくある型:学習段階の最終段を「人に伝える」と定義する。案内文は「大切な方とともにご参加ください」と書き、家族・職場の仲間・顧客・取引先を名指しする。配偶者は半額、親子は割引。結果、新規の8〜9割が紹介経由になる。
紹介キャンペーンではない。「修了する」の定義に「人に伝える」が含まれている。 伝えることが顧客自身の学習の完成であり、しかも指導する立場に置かれるので自分の実践も強化される。 紹介した側に金銭報酬を渡していない点が重要で、報酬を渡すと動機が外的になり、紹介の質と信頼が落ちる。
移植:紹介に金を払わない。代わりに「教えることが習得の最終段である」と定義し、同伴の場を用意する。同伴割引は本人ではなく連れてこられた側に効かせる。
顧客を資格化して、伝道者かつ上位顧客にする
よくある型:認定講師・認定スピーカーの制度(月会費は数千円)。有料トレーニングの最終回が試験を兼ね、3段階ほどの階層がある。そして数十万〜百万円の上位商品が、この認定保有者に限定される。
資格制度は3つ同時に効く。①肩書きが欲しい人に上位商品を作る ②その人が講演で語るたびに新規接点が生まれる ③資格が上位商品の購買資格ゲートになる。 名誉が売上に変換される仕組みで、しかも認定者は自分の肩書きの価値を守るために発信を続ける。
移植:資格を「名誉」で終わらせず、上位商品の受講条件に接続する。ただし資格取得に継続的な有料受講を必須にすると、後述の線に触れる。
この6つが噛み合うと
広告費がほぼ不要になり、獲得コストがゼロの再購入が積み上がる。 この形の事業が3割を超える経常利益率を出すことがあるのは、 提供内容の質ではなくこの構造によると読むのが自然である。 逆に言えば、構造さえ噛み合えば業種は問わない。
自分の商材に置き換える
埋めた内容は次のタブでAIに渡され、6部品それぞれの草案になる。全部埋めなくても動くが、埋めるほど具体的になる。
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6部品を自分の商材で設計させる
ワークシートの内容を材料に、AIが各部品の草案を出す。どのプロンプトにも「越えてはいけない線」の条件を埋め込んであるので、危ない設計は返ってこないようにしてある。
部品は同じ。違うのは運用の一線だけ
左と右は同じ仕組みを指している。違うのは、顧客の判断力を支える方向に使うか、奪う方向に使うかだけ。 右側は消費者被害の典型的な形でもある。移植するときに、自分がどちらに寄っているかを1行ずつ確かめてください。
| 部品 | 正当な設計 | 越えたら危険 |
|---|---|---|
| 価格の開示 | 申込前に税込総額を書面で示す。上位商品の価格帯も先に見せる。 | 価格を問い合わせないと分からない。その場で決めないと不利になる条件を付ける。 |
| 入口の無料 | 無料枠で本当に役に立つものを渡す。帰ってから決められる。 | 無料枠を長時間の囲い込みに使い、その場でクロージングする。 |
| 紹介 | 満足した人が自発的に話す。紹介した側に金銭報酬を渡さない。 | 紹介数に報酬や地位を連動させる。連れてこないと立場が下がる空気を作る。これを金銭報酬付きでやると連鎖販売取引に接近する。 |
| 再購入 | 本人が必要だと判断して戻る。戻らなくても不利にならない。 | 「まだ足りない」と不足感を作って戻らせる。修了を定義しない。 |
| 会員のロックイン | いつでも抜けられ、抜けても既に得たものは失わない。 | 抜けると過去に買ったものまで使えなくなる。 |
| 資格制度 | 実力を認定する。維持に継続課金を必須にしない。 | 資格の維持と昇格に有料受講を必須にし、資格を上位商品の購買条件にする。 |
| 解約 | クーリングオフを明示し、期間内は全額返す。 | 直前解約に高率の違約金。無連絡欠席を全額徴収。 |
| 効果の表示 | 満足度調査と効果検証を区別して書く。対照群の有無を明記する。 | 顧客満足度アンケートを「効果検証」として提示する。 |
| 対象者 | 効きにくい人には向かないと言う。判断材料を渡す。 | 弱っている人を主要ターゲットにする。「誰にでも効く」と言う。 |
移植するなら
左の列だけを取る。右の列は、短期の数字は上がるが、顧客が後から「あれは何だったのか」と思う設計で、 それは紹介率を長期に下げる。皮肉なことに、高い紹介率を支えているのは左側のほうである。 この形の事業が何十年も紹介で回り続けられるのは、行政処分も訴訟も報道もない状態を保ってきたからでもある。